<空想科学祭2009>レビュー/感想掲示板



[118] 「千年の恋をしよう」桂まゆ Name:空想科学祭2009 Date:2009/09/11(金) 23:48 [ 返信 ]
【題名】千年の恋をしよう
【あらすじ】
人類が火星に移住を開始して、数十年。そこは、「偽物」だらけの星だった。その星に生まれたコウが求める真実とは?
【名前】桂まゆ
【URL】http://ncode.syosetu.com/n9602h/



[120] RE:「千年の恋をしよう」桂まゆ Name:尚文産商堂 Date:2009/09/12(土) 13:10
確かに、SF要素もありますが、それ以上に恋愛の要素が多く存在している作品だと思います。千年残るような恋というのも、いい話だと思いますし、源氏物語を下地としたSF恋愛作品もあまり読んだことがなく、私の中では異彩を放つものだと思います。意訳の仕方も独特で、良いアクセントになっていたと思います。

[139] 潔いニセモノ Name:栖坂月 Date:2009/09/16(水) 23:45
本物か偽物かを判断するのは、所詮主観です。
例えば盆栽ですが、あれは自然でしょうか。元は自然の産物であった木々を不自然に捻じ曲げ、強引に人間の好みに合わせた代物といえます。しかしそこに自然を感じる人は少なくないでしょう。自然も四季も、人間にとってはその程度のものなのかもしれません。
主人公の父親が求めたものは、壮大な偽物でした。
それは客観的に見れば、間違いであったのかもしれません。しかし私には、むしろある種の潔さすら感じられました。もちろん、必然としての歪みは生じ、結果的には全ての関係者が苦しみを背負うこととなります。ですが、それも含めて、ロボットの心すら含めて、それはとても自然な成り行きであろうと思えました。
その結果をどう判断するのかは彼ら自身に委ねられる問題ですが、暗いイメージを抱くことはできませんね。そこは素直に喜ばしいことと思います。
それにしても、偽物だらけの世界にあって唯一残された本物である『人間』を選ぶ話であると考えるなら、ずいぶんと皮肉な物語なのかもしれませんね。


[177] RE:「千年の恋をしよう」桂まゆ Name:俊衛門 Date:2009/09/23(水) 00:13
物語が心に響くものである、というものならば古典もSFもそれほど変わりはない。作者様はSFを書いた事が無いようであるが、そもそもSFだって想像力から生まれるものなのだから、面白い話があればそれで良いと感じます。
さて本作、「千年の恋」という単語から壮大な物語を想像していましたが、期待していた通りでした。古典文学の雅さと、スペース浪漫が上手く融合されている。世界観もさることながら、『藤壺』の告白に胸を打たれる。悠久のロマンをここまで体現されるともう見事としか。正統派なSFでした。


[185] 立派にSF Name:秋は戻り鰹 Date:2009/09/23(水) 16:45
 今は各作品の評価ページに足跡を残す某辛口レビュアーが星3つ(想像だが)を付けた作品。某公募優秀賞を獲得した作者の受賞後第一作でもある(某ばかりで申し訳ないが「大人の」配慮である)。
 正直私の一読直後の感想は、確かにSFと呼べなくもない、かろうじてSFに留まる作品だろう、というものだった。
 今回この企画、昨年と打って変わって硬派層が薄くソフト又は変り種とも呼べる作品が軒を連ね始めている中でも代表格である。
 果たしてSFは何ぞや、などとここで語るのは野暮というもの。そんなことは忘れて本作、企画という範疇を越え、秋の夜長(いや、日差しの柔らかな日中も)スクロールまたはクリックしながら読む「なろう小説群」のなかでも実にキラリと光るのではないか、と思わせる。つまりは、本物がある。手触りの良い猫か犬を撫でる時のようなほっとしたひと時、とでも言えばよいのか、穏やかな日常の空気。SFにそれを求める事は中々ないのだ。
 がしかし・・・雰囲気からファンタジーと呼んでも良さそうであるが、この作品世界の幻想(皆さんまがい物やら虚構と呼んでいるが)は立派に科学で組みあがっている。やはりこれは立派なSF作品なのだ。その意味でこの作者が今出来ることを全うに発揮して作り上げたSFの佳作であろう。

さあ、万葉世界を思い浮かべつつ、コーヒーでも紅茶でも好きな飲料を隣に紐解いてはいかが?


[241] RE:「千年の恋をしよう」桂まゆ Name:ラヒチ Date:2009/10/03(土) 17:40
読み終えての第一印象は、これもっと長くしても良かったんじゃないかな?でした。おそらくプロットから時間をかけていたのでしょう、物語・展開ともに破綻はなく、安心して読んでいくことが出来ました。作者様も後書きに、主人公をお母さんにすれば良かったんだ、と書いてありますが、なるほどたしかに、主人公が当事者である場合のお話も読んでみたいと思いました。SFを利用してラブ・ストーリーを作り出す、実に作者様らしい作品です。《六条院》を《墓場》と見るかはたまた《ロマンの集大成》と見るか、そこで何かを試されている気がしなくもないような…w
 少し違和感があったのは冒頭文、故事っぽい言い回しから始まり非常に素敵な雰囲気を出していたのですが、直後に来る「イケメン」がそれを壊してしまっていたかなと思いました。ここは現代語ではなくそのままの流れに合った言葉を選んで欲しかったです。また、学校の場面から六条院――すなわち謎が解き明かされる場所に移る前に、もう1、2ステップ何か置いて欲しかったです。そうした場合でも流れが崩れないだけの構築力を感じました。先に述べたように、中編、長編に膨らませてもいけたと思います。
 以上二点はわたしの個人的な見解…というよりほとんど我儘に近いので、あまり相手になさらないでください。楽しませてもらいました。では失礼します。


[282] RE:「千年の恋をしよう」桂まゆ Name:招夏 Date:2009/10/06(火) 15:56
SFと古文、ジャンル違いもここまでくると、なんだか清々しく新鮮ですね。ほの甘い恋愛とコウの出生の秘密がほどよく絡み合っていて、楽しく読ませていただきました。

私はかつて(もうだいぶ前になるので、今はどうか分んないけど(^^ゞ)、ロスのリトル・東京で日系の方たちと話す機会を持ったことがあるのですが、日本語こそ忘れかけていて扱うことが不自由な様子でしたが、その暮らしぶりは日本にいる日本人よりもより日本人らしい気がしました。古き良き日本の礼節とか親切とかね。昭和初期の大人と話しているような、そんな気持ちになったものです。それは恐らく火星に住むことになっても同じなんじゃないかと思います。偽物ノープロブレムですよ。

初期化されてしまった藤壺が哀れでした。そこまで人間化していたなら、どうしてコウが人間嫌いになっちゃったかなと疑問に思うくらいですよ。

ま、とにかく面白く興味深く読ませていただきました。


[312] RE:「千年の恋をしよう」桂まゆ Name:あるれん Date:2009/10/12(月) 22:32
勿体無い、が第一印象だった。恐らくモバイル読者を意識しているせいなのだろうけれど、(あえて?)ぶつ切りにされた文章のおかげで展開が急に、心理が甘くなっている。そこが勿体無い。腰をすえて、書き込むべきところに書き込めば、もっとよい作品になったと思う。
感覚に訴える文章が嫌い、なわけではない。桜庭一樹とか好きですし。だが、桜庭の文は短いセンテンスで精神を抉ってくるものなのに対し、この作品の場合は表層にタッチしているだけなように見える。自分のようなヘソ曲がりの人間は、そういう浅さゆえの綺麗さに、ついつい苛立ちを覚えてしまう。
改行連打で加速するのがいい部分もあれば、じっくり文章を重ねるのが相応しい部分もある。描写の緩急が欲しかったな、と。

まぁ、こんな文の根っこにあるのはケータイ小説的なものへの(悪い意味で)分け隔てない反感なので、さらっと流していただいて結構です。お話自体や盛り込まれたテーマは、先達のレビュワーの方々が仰るように、申し分ないものだと思います。非常に楽しく読ませていただきました。


[315] 感想 Name:中瀬美嘉 Date:2009/10/13(火) 01:30
 古典とSFをどう絡ませているのか、読む前から興味はあった。なるほど、こういう風に繋ぐのかと頷きながら読んだ。
 優しい雰囲気、生き生きとした登場人物たち。肩に力が入ることなく、自然体で文章を書く人なのだと想像する。読みやすい、わかりやすいため、すっと読めるのではないだろうか。
 ただ、多少キャラ作りに難のある藤壺、私も「あの話し方はない」と思ってしまった。作者にどういう意図があったのかわからぬが、時代設定からしてもあの言葉遣いはどうだろう。例えば昔の漫画を見て死語の連発に「これ、ないわ」と愚痴をこぼしてしまう、あれと同じように思える。
 物語も少し後半強引に思えた。叔母の独白以外での展開は無かったのだろうかと思うと、残念でならない。もっと自発的に主人公に物語を紡いで欲しかった。作者後書きの通りならば話は確かに上手くいったかも知れないが、せっかく主人公を少年に据えたのだから、少年の目線でしか語れないこともあったのではないか。途中から、なんだか物語を放り投げられてしまったように思えてしまったのは、私の気のせいか。
 設定が多い文、文字数で消化し切れていない気がする。もっと文字数を裂いてゆっくりと語るべき物語ではなかったろうか。これだけ作り込んであるのに勿体ないと思わざるを得ない。


[331] RE:「千年の恋をしよう」桂まゆ Name:三谷透子 Date:2009/10/15(木) 16:38
 一度チャットでお会いしました、覚えていらっしゃいますか?あの時お約束しましたので批評させて頂きます。

 取り敢えず話の流れに破綻がなく上手く纏まっていた点は良かったと思います。あと、叔母さんのキャラが良かったと思います。格好良いですよね、彼女。

 ただ、引っかかった点がいくつか。
 先ず、提供されていた卵子の管理についての責任はどうなってるんでしょう?兄とはいえ勝手に妹のところから死んだ妻の卵子を持ち出せるんでしょうか?これ、表に出たら妹の医者資格剥奪ではすみませんよね?一兆歩譲って妹が知ってたのに見てみぬふりをしたのなら何故藤壺に預けっ放しだったのか?新たな謎が生じます。
 これに関連して桐壺帝に擬された主人公の父親のキャラに?がつきます。私の記憶が確かなら、桐壺帝はかなりの常識人だった筈。犯罪まがいの手段を取ったり、子供を後見人となるべき妹に会わせないような人物ではなかった筈です。桐壺更衣への愛は常識外れじゃないか、と仰るやもしれませんが、あれは光源氏を産んだせいで朱雀帝の母上まで加わったイジメが一晩中廊下に立ち往生させる、汚物を床に撒く、とあまりに酷かったから更衣を護ろうとしたため、と記憶してます。弘徽殿女御がいなかったとしたら桐壺帝はあれほど激しい情熱は露わにしなかったと思います。玄宗だって基本名君でしょ?せっかく芥川を使ってるのですから、桐壺は要らなかったんじゃないですか?犬君の登場シーンも見当たらなかったような気もするんで。せっかくの業平が泣いちゃいますよww
 ついでに、何故に六条院の女主人に花散里だったのでしょう?紫の上じゃないんなら花散里じゃなくても女三宮とかでもいいですよね?初期化されて記憶を無くした藤壺でも良いですし。いきなり花散里が出て来て軽く悩みました。

 古代、又は古典とSFの融合はイティハーサやら飛鳥昔語りやらであるんで珍しいとは思いませんが、初のSFでやるのはチャレンジャーだと評価出来ます。ただ、古典やら歴史は融合させりゃ良いって言うもんではないと思います。

何か難癖つけたみたいですみません。でも、言わずにはいられなかったんです。ごめんなさい。

ではでは


[472] RE:「千年の恋をしよう」桂まゆ Name:鳥野 新 Date:2009/10/24(土) 23:47
 ロマンチックですね。
 古典が苦手で、源氏物語も名前とあらすじを知る程度ですが(読もうとしても読めない〜泣)楽しかったです。
 夢の中に古典を語る女性が出てくる序盤から、少年の本当の出自を解き明かすラスト近くまで、ほとんど止まることなく興味深く読みました。
 また、源氏物語チャレンジしてみようかなあ。


[495] RE:「千年の恋をしよう」桂まゆ Name:右野前条 Date:2009/10/25(日) 13:09
のっけから躓きそうになった。
古文調の文体で横文字というのは論外として、
古典らしさを出そうとした努力は伺えるが、それが致命的な中途半端感の原因となってしまっている。
ある程度読み進めれば、何故ああいった文章だったのかと理由(納得するかは兎も角)が示されるにしても、そこに辿り着くまでのハードルが些か高い。
伏線といえば伏線なのだが、冒頭でページを閉じられる危険性を冒すだけの価値がある伏線とは思えない。

文章の軽さは作風だとしても、
主人公とヒロインの関係描写までもが軽く、これで、千年の恋を……とは、ちょっとないだろう。
作者のなかでは段階が踏まれているのかもしれないが、
作中に恋愛描写らしきものが一切ないまま、一緒の布団に潜り込んだときには我が目を疑った。
展開が早いというよりは、ぶつ切りのプロットを整理しきれないまま表に出したという印象を受ける。
種明かしの独白もそうだ。
一人分ならまだしも、二つ続くと、これは単なる説明台詞なのではないか、
背景説明をストーリーとして構築出来なかっただけではないか、そんな疑問を抱いてしまう。
恐らくは、筆を進める前に、今少し、構成を練るべきだったのではないだろうか。


[599] RE:「千年の恋をしよう」桂まゆ Name:シャボン玉 Date:2009/10/31(土) 18:34
 SFと古典の融合はやはりとても魅力的なものですね。
淋しげに描かれている舞台も設定と併せてみると色鮮やかに見えるような気がしました。
コウくんはやっと自分の出自問題に一段落付けて、これから恋愛本番という所なのではないでしょうかね。

 既視感がないと言えば嘘になるかもしれませんが、この雰囲気は企画作品の中でも異彩を放っている気がします。
 素敵な物語をありがとうございました。


[653] RE:「千年の恋をしよう」桂まゆ Name:桂まゆ Date:2009/12/31(木) 23:02
長らく放置をしていた事を改めてお詫び致しますと共に、まとめレスをお詫び致します。

私は、この作品を「源氏物語のパロディ」として書いたつもりはありません。
千年という長い時間を経て語り継がれれてきた物語に対する尊敬を込めて、私の物語を書きました。
それは、竹取物語だって伊勢物語だって同じです。
千年、誰かに愛される物語。
そんな物語がいつか自分にも書けるといいな。今は無理でも、二十年後、三十年後、百年後でもいつの日か。
そんな大いなる野望を抱いた時に出来た物語でもあります。
だから、飾らない自分を素直に書きました。

数々のレビュー、ありがとうございました。



  


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