<空想科学祭2009>レビュー/感想掲示板



[122] 「黄海に消ゆ」俊衛門 Name:空想科学祭2009 Date:2009/09/13(日) 01:21 [ 返信 ]
【題名】黄海に消ゆ
【あらすじ】石の牙城、乾いた空。汚染物質が満たす大気を、ナノマシンの灰が舞う。享楽と混沌が並存する青島の街、電灰網――網膜の光情報、神経接続に裏打ちされた、仮想現実。そこに、"亡霊"と呼ばれるバグが存在していた。李聖鬼――故郷を棄て、「同胞殺し」と蔑まれ、己のアイデンティティを失った男は、"亡霊"と相見える。
【名前】俊衛門
【URL】http://ncode.syosetu.com/n9709h/



[320] ストップアンドゴー Name:栖坂月 Date:2009/10/13(火) 15:05
十万文字ピッタリという文字数にまず笑ってしまったのですが、ともかく作者様にはご苦労様と申し上げたいですね。これだけの長編のほとんどを濃密なアクションで埋めるのは、なかなかに大変な作業であったと思います。どうしても動作、状況の説明や描写に費やされてしまう分、感情やら背景の描写が置き去りにされてしまう印象がありますからね。これだけの動きを、よくも一つ一つ丁寧に拾い上げたものだと、そこは素直に感心しました。
これは私の個人的な印象で、多分意識されてのことではないと思うのですが、この作品のアクションシーンに、何故かマトリックスを想像してしまいました。それはシチュエーションとか格闘のやり取りとか、そういう話ではなく、速い展開と効果的なスローモーションが繰り返し訪れるような、演出面での話です。時折挟まる詳しい描写が、私にはスローモーションを見ているように感じられたんですよね。それがまるで激しい緩急を生み出しているように思えて、そのアクションを美しく、同時に華やかなものへと彩っていたように感じられました。やはりアクションシーンが肝の作品だと思いますから、引き込ませる文章としては上々であったと思います。
舞台が中国、そこに朝鮮系の日系を織り交ぜての犯罪物という危険な橋を渡ったことも評価に値するかと思います(笑)話全体に漂う雰囲気は格好良さよりも悲壮感、あるいは虚無感の方が強く、正直爽快感のある物語ではありません。ただ、スッキリ感はないながらも明確なシコリを心の内に残してくれるような、そんな鋭さのある話でしたね。
それにしてもなるほど、これは良いバッドエンドでした。


[334] RE:「黄海に消ゆ」俊衛門 Name:憂国万歳 Date:2009/10/15(木) 22:53
十万字チキンレース大勝利おめでとうございます、と言ったらリニューアル後正確な数字が分かるようになったのでチキンレースじゃ無くなったとのお返事がありまして……。
とまあ前置きもそこそこに感想をば。
濃密なアクションシーンはもとより人物の描写、背景の設定、近未来の様子など全てにおいてレベルが高いです。十万字というと文庫本一冊(短め?)という長さでありますが、やはり縦書きで読んでこそ真骨頂。
ラストは読者によって好みが割れる所。


[356] RE:「黄海に消ゆ」俊衛門 Name:坂本伊能 Date:2009/10/17(土) 21:37
キュッとお尻に力の入る緊張感。それは、安楽のハッピーエンドへの道を手探りで辿りながらも、1つでも間違えば泥濘のバッドエンドへ直行しそうな世界観、構成による所が大きい。
正にハード。硬いの大好きっていう人はオススメです。
そして、先のレビュアーの方が仰っていますが、映画的描写が強いです。
視点の移り方、展開、演出。それらが映画的な為、10万字という膨大な文字量を読むのに大した疲れを感じません。
また、文章を滞りなく読ませてくれるのは、作者様の確かな文章力があってこそ。

ただ後半、クライマックスに、10万字の壁が立ちはだかった気がしました。


[465] 感想 Name:秋は戻り鰹2−3 Date:2009/10/24(土) 16:43
「なろう」では実力作者のひとりだそうである。昨年、30万字越え大作で驚かせた作者の10万字作品を読んでみた。
硬筆だが決して読者にハードルとなる文体ではなく、読んでみれば案外ストレスを感じることは少ないだろう。
緻密な描写と緩急を極めるストーリー展開、過酷な運命に向かう主人公やセクサロイド、謎の亡霊など、陰影深いキャラクター。
東アジアという舞台設定にあっという間に引きずり込まれ、十分に堪能させて貰った。
多少残念なこともある。SFとしてもハードボイルドストーリーとしてもそれなりに位置を保っているが、オリジナリティは?というと、
曖昧模糊として難しい。誰の影響か、とか、どの作品から、とかを引き合いに出すのが難しいのは、作者がきちんと消化して己のものとしている証拠だが、結局のところ、見慣れた展開と約束された過酷な運命に落ち着いた。
雰囲気に酔いキャラクターに唸る。それもまたこの種の作品の楽しみ方だが、それだけでは勿体無い力を持っている作者なので、
次の段階では、何か違うもの、たとえばSFやらアクションやらを封印した作品をひとつ上げてみるのもいいのかもしれない。
以上、私の無理強いと笑って頂いて構わない。
確かに字数と文体に読み切る勇気を殺がれる向きも多いだろう。それは昨年と一緒だが、この作者、
筆力が確実にアップしているので、昨年途中で諦めた向きも、チャレンジしてみたら面白いかも知れない、と最後に記して置こう。


[528] RE:「黄海に消ゆ」俊衛門 Name:尚文産商堂 Date:2009/10/25(日) 22:14
準ハッピーエンドのような感覚のラストでした。バッドでもないような気もしますが、ハッピーな終わり方とも言えないような、不思議な感覚が胸のところに突っかかりました。作品を通して、悲壮感のようなものを感じつつ、生き抜く力というのを思いながら、読ませていただきました。

[552] RE:「黄海に消ゆ」俊衛門 Name:蚕の社 Date:2009/10/28(水) 18:10
過去に捕らわれながら、生きている主人公。時代に翻弄され、それでも生きている登場人物達は、皆、何かを背負っています。
人間がとても丁寧に描かれていて、読み終えた後に深い感動がありました。

皆様が言っていらっしゃるアクションの描写は、自分は読んでいて逆に疲れてしまいました。
アクションシーンを描くということは、様々なメディアの中でも小説は一番難しいと思います。脳裏にその「絵」を描くのは、読者に任されるからです。どこまで描写をすれば良いのかは、受け取る人によって違います。これは受け取る人間のキャパシティの問題ですので、あまり気になさらないで下さい。

読み応えのある作品でした。お疲れさまでした。

[578] RE:「黄海に消ゆ」俊衛門 Name:鳥野 新 Date:2009/10/30(金) 00:39
 読みました〜!(今までずーっと読んでました) いや厚みのある物語ですね。
 最初、ぎっしり詰まった文字に眩暈を覚えたのですが、いざ読み始めると案外すーっとストーリの中に入っていけて、この文字の塊がそのまま頭の中で映像に変換されていきました。
 世界感そして、それぞれのキャラの心境がじわじわと頭に染み込んでいくような描写は、読み応えがありました。序盤はやや物語の起伏は少ないかなと思ったのですが、終盤の急転直下の展開には、惹きつけられて夢中で読んでしまいました。(最後の李と孔の絡みはすごかった……)
 女性キャラもそれぞれが雰囲気満点でした〜。面白かったです。
 それにしても、「肝臓のナノマシンが瞬時にアルコールを分解」ってそんな身体は自分だったらゴメンこうむりたいなあ〜。


[589] RE:「黄海に消ゆ」俊衛門 Name:羽村奈留 HOME Date:2009/10/31(土) 01:04
"亡霊"と相見え、100,000文字数分のナノマシンと戯れながら読ませて頂きました。

疲労を忘れさせる、人工血球(レスピロサイト)。
執筆するにはもってこいの血球だと思いました。羽村は欲しいです。

ハードSFならではの重厚を感じる文体に、羽村は暫くココアを飲み忘れて読み続けておりました。

羽村的に言わせて頂くと、
「ハッピーエンドというべきか。バッドエンドというべきか。読み終わってから考えたかな」
です。
多分、読んだ読者によって、終わった感じが変わるのではないかと思いました。

投稿お疲れ様でした。
今後も更なる発展とご活躍をお祈り申し上げます。


[619] 感想 Name:中瀬美嘉 Date:2009/10/31(土) 23:59
 時間がないので手短に。
 文章力が増し、読ませる力が更に付いた。去年の超大作も素晴らしいと思ったが、今回は文字数ぴったりに上手く纏める力も加わり、まさに鬼に金棒状態だ。
 難しそうという入り口がどうしてもある。だが、私はその味をもっと深めて欲しいと思っている。
 今作では前回指摘のあった導入部の説明をあらかた端折ったせいでかなり読みやすかった。少しエロティックな設定も含め、「一皮むけた」という表現は適切だと思われる。
 昔の女にすがる男。いいではないか。所詮男とはそのような生き物らしい。


[625] RE:「黄海に消ゆ」俊衛門 Name:招夏 Date:2009/11/05(木) 15:05
大遅刻の感想です。平にご容赦を
この作品を読み終わったのは、実は10/15の25:00でした……それって、10/16の1:00だろーってことで、ギリギリアウトで感想は間に合いませんでした。(でも投票はむにゃむにゃ)

感想いきます。

完成度の高い作品だと思いました。文章も臨場感があって街の雑多さや猥雑さ、人間の業の深さや哀しさがうまく描かれていたと思います。

どう転がっても良くはならない運命。そうならば自分の心に正直になってあがく方が良い。そう選択した主人公はやっぱりカッコ良かったですね。何故か松田優作が頭に浮かんで仕方がなかったです。面白かったです。


[650] RE:「黄海に消ゆ」俊衛門 Name:俊衛門 Date:2009/12/01(火) 13:11
いろいろと問題多き拙作ですが、こうして感想を残して頂き、感謝の念に絶えません。

それでは、返信を。

>栖坂月さん
マトリックスは、内容はともかくアクションの魅せ方は好きですね。ただ、拙作はあくまで小説なのでマトリックス的に見えたのであれば、それは失敗でした。十分反省して、今後の創作に臨みたいと思います。
まあ、バッドエンドですよね。わかっている(笑

>憂国さん
せっかくチキンレースやる気満々だったのに、リニュで何か興が削がれた感じしましてw

レベルですか、まあそう言ってくださるとありがたいです。描写力は、並の上ぐらいまでにはなれたのかなと思います。あとはソフト面ですね。ハードばかりでなく、内容の充実に力を入れたいです。

>坂本伊能さん
うむ、たしかに映画的になってしまいます。読書足りてないのもろバレですねw アニメや映画に親しんできた弊害なのか、わかりませんが。

最後、もし字数が足りていてもあんな風になったかもしれません。でも確かに、字数には苦しめられました。規定の文字数に収まりきれない、ということは反省の余地がありそうです。今後の課題にします。

>戻り鰹2さん
いつぞやはチャットで、ありがとうございました。

色々考えましたが、どうもSF、バトル、ってなってしまう。それは自分が、そういうものしか見たり読んだりしなかったからなんでしょうね。手広く読み、吸収しなければ、ただのフォロアーに堕してしまう。いやハードボイルド分だって吸収しきれていない。拙作、じつは冲方丁の劣化コピーです。読み比べていただければわかりますが、オリジナルなんて一つもないです。

ということで、ご助言通りしばらくSF、バトルから離れてみます。ただ恋愛は……ハードルが高いですねー。恋愛書けなきゃダメだってことは分かっているんですが。まあとりあえずは勘弁してください、草野球でw

>尚文産商堂さん
準ハッピーエンドで紅茶噴きました。ラストを読者任せにするって小学校の道徳の授業みたいな投げっぱなしの作品でしたけど、ナイスなネーミングをありがとうございますw 

>蚕の社さん
背負っているといっても、なんとなくありきたりな過去ではありましたけどね(苦笑)

戦闘について、全く同じ事を別の人に言われた事がありますね。視覚的な効果を文章で綴っても、疲れるだけだって。そう言われると、上手い人の殺陣描写はあっさりしているなーと。今後、そういう方針に変えます。ああ、でも戦闘封印するんだった……。

>鳥野 新さん
李聖鬼と孔飛連の絡み、って聞いてなんか「やらないか」な方を連想した私は相当に終っているw

ともあれ、感想感謝です。アルコールをナノマシンが分解するなら、酒の意味ねーなーとは私も思いました。書いてからやっちまった、って感じです。あれも攻殻が元ネタだったりしますが、特に意味があった描写じゃなかったですねw

女性キャラ……?誰かいたっけ(何

>羽村奈留さん
なろうの方にも感想ありがとうございました。せっかくのココアが冷めてしまったのではないかと心配になってしまいましたが、そこまで読みこんでいただけるとは嬉しい限りです。相変わらずな感じですが、またよろしくです。

>中瀬美嘉さん
どうも、心当たりがある気がするんですよね、中瀬さんには(笑

説明=描写でないと気づき、濡れ場=エロでないと気づいて、一年間研究した甲斐がありましたかね。ただ、これはまだハード面での研鑽でしか無く、今後はソフト面で研鑽を積み、本当に「面白い」って言われるものを目指したいです。
難しいっても、ハードSFじゃないでしょうw

>招夏さん
何、読んでくれるだけで私は満足ですよ。

人の業なんてものはわかりませんが、もうちょっと心情描写を詰めて行きたい。小説なんだから、人物が命なんだなーと感じました。ただ、別にあそこまで悲惨にすることもなかったかもしれない、とちょっと反省してもいます。
松田優作……いや、そこはイ・ビョンホンでw


自作についてあれこれ言うのは好きじゃないのですが、一応あのラストについて。世間的にはバッドですが、自分はハッピーエンドのつもりで書きました。というのも、最初はあの後李聖鬼と玲花が半島に渡って……というのを考えたのですが、途中からそういうラストは李聖鬼自身が望まないだろうな、と思ったわけです。キャラが勝手に動くじゃないですが、どうもそっちの方がしっくりくる。李聖鬼は自分が生き残ることを良しとしないだろう、ということで途中で変えた次第です。だから、若干整合性が取れないところもあるかと思います。

ああいうのが世間的に受けるとは思いませんが、まあ企画なんだし、たまにはこんな奴がいてもいいじゃないですかね?

それでは皆さん、ありがとうございました。



  


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