<空想科学祭2009>レビュー/感想掲示板



[13] 「絵空のこと」改札口 Name:空想科学祭2009 Date:2009/09/01(火) 07:14 [ 返信 ]
【題名】絵空のこと
【あらすじ】1人の私を殺しに未来からやってきた4人の私。そんな4人を殺し来た1人の私。そんな私たちを観察する1体のロボットの物語。
【名前】改札口
【URL】http://ncode.syosetu.com/n8689h/



[31] RE:「絵空のこと」改札口 Name:憂国万歳 Date:2009/09/01(火) 23:41
視点が中学生とだけあって、難解な論理その他は出てこないので読みやすい。親殺しならぬ自分殺しという未来を巻き込んだ壮絶な自殺を試みる『私』たちの目的は……? というサスペンスフルストーリーに仕上がっております。
ただ一人主人公を『殺さない』と言った私、謎のロボット。話を先へと進ませるためとはいえ少々ご都合主義な面も見られますが、『タイムパラドックスに気を遣わないタイムトラベル物』という利点がそれを補って余りある作品となっています。


[39] セカイ系の産みの親とそのチルドレン(一) Name:六六六 Date:2009/09/02(水) 10:18
 昨晩読んだ三作のレビューを携帯から打ち込んでいるわけだが、これがなかなか偶然にも綺麗な三角形を構成した。面白い。この作品「絵空のこと」は昨今の小説界を経済的に支えているライトノベルと呼べるものであろう。
 最初に読んだ作品はどこまでも暴走する円舞を描くために主人公が戯画化されていた。そこに感情移入する隙はなく、読者は目まぐるしい展開に飲み込まれるか、うんざりして早々に拒否するしかない。
 次に読んだ作品は落ち着いた語り口で綴られる怪異譚。丁寧な作りは感情移入を促し、だからこそ作品からの裏切りは良くも悪くもまったく無いものだった。
 そしてこの作品は、その過剰に脚色された語り口が読者に心情を押しつけて突き進む、セカイ系と呼ばれるジャンルのテイストに満ちていた。
 そもそものセカイ系の産みの親はかのベストセラー作家、村上春樹と言われている(それについて述べた評論が以前、群像新人賞を取ったこともある)。彼はSFに対する造脂が深いことでも有名で、ハーラン・エリスンの未邦訳作品さえも愛読していたという。
未来世界や外宇宙に関するSFが書き尽くされたあと、カート・ヴォネガットやフィリップ・K・ディックなどが所謂古典的SFの殻を脱し内に向かうSF=スペキュレイティブ・フィクションを書き上げ、それまでエンタテイメントや空想科学物語としか見なされていなかったSFに文学的・哲学的・心理学的味付けをし大いに評価された。それらを愛読していた村上春樹は、「エスエフ」を日本流に改良し自作に足すパプリカとし用い、存知の通り「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」など、いくつものベストセラーを生み出している。そして村上春樹に影響を受けた春樹チルドレンと呼ばれる伊坂幸太郎(「終末のフール」)、金城一紀(「GO」)、舞城王太郎(「煙か土か食い物」)らの近年の活躍も聞いて久しい。このなかで特に影響を受けていると言われる伊坂幸太郎の作品を見てもらえばわかるが、彼の作品にはラノベ的要素がふんだんに盛り込まれている。
(……二に続いてしまいました)


[40] セカイ系の産みの親とそのチルドレン(二) Name:六六六 Date:2009/09/02(水) 10:21
 セカイ系の特徴は主人公が過保護なほど主人公然としている部分であり、心理描写はどこまでも内へ内へと向かい、SF的ガジェットはそれらを促す備品でしかない。この「絵空のこと」もご多分に漏れず、主人公の未来と選択を描くために、SF的ガジェットである未来からの刺客と助っ人がやってくる。ご都合的な展開が目につくが仕方ない。この作品の焦点はあくまでも主人公の内面であり、ほかのものごとは彼女を照らすスポットライトでしかないのだ。
 この種の作品が陥りがちなのは主人公とともに作品自体が内に籠もってしまっている状態で、ようするに読者側からしてみれば共感できるかどうかという点が重要になってくる。最後に主人公の鬱屈は「開く」が、少し特異な家庭環境に置かれた主人公の共感を呼べる守備範囲は、残念ながらそう広くないと言える。しかし疾走感ある文章で綴られる無理矢理な展開は、しかと引っ張る力も備えており、二万字があっという間に終わる。自分が主人公に共感できるかどうか、試しにブラウザを開いてみるのも悪くないだろう。
 たまたま選んだ三品がどれも違う味をしていて舌が痺れてしまった。開始早々、この企画の懐の深さ、持ち味の多さを思い知らされた気分だ。昨晩読んだ分だけで纏めると、「絵空のこと」「アンド・ワールド」「グレイマンズ・ロンド」はどれもSFという固定概念を挑戦的に利用した作品であり、三者まったく違う方向を向いているのに、お互いがお互いを削り合っているのではないかと錯覚してしまうほどの魅力・対立点があった。 作者にとっては不快極まりないことをべらべらと喋ってしまったであろうが、どうか削除しないで欲しい(笑)
 長々と語ってしまって申し訳ない、改札口殿。
 そして素晴らしい祭典を催してくださった天崎女史に感謝を。
 それでは、また、時間が出来れば遊びに来ます。長々と失礼いたしました。


[44] RE:「絵空のこと」改札口 Name:尚文産商堂 Date:2009/09/02(水) 15:22
読み進めていくにつれて、謎が増えていくような印象を受けました。タイムパラドクスという昔からあるSFネタを、このように一つの作品に仕上げていき、さらにはかなりの読みごたえがある作品へと創り上げるその手腕は、私も真似したいところがあります。彼女がどうやってこれからを生きていくか、その可能性の一つをゆっくりと想像させて頂きます。

[76] RE:「絵空のこと」改札口 Name:オロチ丸W0632Aj HOME Date:2009/09/05(土) 01:16
 なんというか、シュールな作品だと、僕は思いました。
 以下、正直に書きます。
 辛口かもですが、スミマセンm(__)m
 
 主人公がただの女子中学生にしては、違和感が有りました。
 その最たるものが、『肆ノ肆』の序盤です。
 あの文は、その負傷が軽いモノで有るかのように扱っていますが、ただの女の子で有れば、自分自身の負傷でも、沈むと思います。
 また、それを軽いモノで有るかのように扱える精神力?が有るのなら、『肆ノ壱』の惨状を目にしても、あそこまで怯える事は無いと思います。
 何というか、チグハグな印象をうけました。
 もしかして主人公は、記憶を共通する多重人格のキャラなのではないか、と思ってしまう位に。
 また、あれだけの事が有ったのに、『私の未来はきっと明るい』と思えるものでしょうか?
 
 もっとも、浅学な僕はそう思っただけで、博識な方はこの謎も解けるのかも知れません。
 毒舌みたいでアレですが、これが今の僕の限界です、スミマセンm(__)m
 では、この場を汚すのはこれ位にして、失礼させていただきます。


[121] 理屈と感情の交差点 Name:栖坂月 Date:2009/09/12(土) 21:48
これだけ凝ったレビューが並んでいるところに割って入るのは、少し気が引けるかなーとまずは言ってみます。
とにかく一言、面白かったです。
煩雑になりそうな設定と状況を、長くすることで順番通りに配置し、整理された話を構築したような印象です。慌てず騒がず、全体の流れが穏やかであるように感じました。話そのものは、割と陰惨というか、暗く重いシーンもありましたがね。
それと、これはおそらく個人的に、という話になろうかと思うのですが、文章の組み立て方と言いますか、作り方のリズムみたいなものが私と激しく違っていまして、その部分で「お?」と思わされる部分が多かったです。これは単純に考えれば『合わない』と称すべき状況なのかもしれませんが、むしろそこが刺激的と言いますか、不快感など全く感じることなく頷かされるばかりでした。特に幾つか見られた、理論的な情景描写から即座に感情的な表現に移っている辺りは、自分の頭では思いつかない感覚だなーと、素直に感心させられました。
私はどうしても話の奇抜さで勝負しようとしてしまう人間ですが、文章でハッとさせられて物語で安心させられる作品というのは、まるで手の届かない星の光でも見ているかのようで、正直に申し上げて単なる一人の読者にしかなれませんでした。
大したことも書けず、申し訳ありません。
いずれにしても楽しませていただいたことは事実ですので、そのことはここに記しておこうと思います。


[143] RE:「絵空のこと」改札口 Name:ラヒチ Date:2009/09/18(金) 18:08
なぜか概要を読んで映画『ターミネーター』を思い浮かべてしまったのですが、この作品にはいい意味で不健康な印象を受けました。自分を殺す、っていうのを美徳と考えるひとも多いでしょうから、作品自体が何かの比喩なのかと深読みしてみたり…。最初の教室のシーンが個人的に一番好きです。またほかの方も仰っているように文章が印象的でした。ぶつ切りっぽいのに流れに淀みがない。なので流されるまま読んじゃうと展開の早さに……。

[173] RE:「絵空のこと」改札口 Name:俊衛門 Date:2009/09/22(火) 23:29
パラレルワールド、タイムパラドックス、こうした題材を扱うとかなり難解な用語を用いたりするのですが、本作は中学生が主人公ということもあってか、そのような語は意図的に排除されている。それ故、門戸の広いものとなっています。ただ、だからといって妥協せず、しっかりとした構成と丁寧な心理描写に圧倒されました。理屈っぽいと兎角敬遠されがちなSFですが、こういうSFだったらいくらでもいける気がします(笑
しっかりとしたSFなストーリーの上に、主人公と母親の絆や心情の変化、自然な具合で実にいい味を出していました。面白かったです。


[190] RE:「絵空のこと」改札口 Name:三谷透子 Date:2009/09/24(木) 18:06
 お久しぶりです。何回かチャットでお話させて頂きました、覚えておいででしょうか?あの時お約束しましたので批評させて頂きます(単なる感想になっていたらスミマセン)。

 一読して思ったのは荒削りなように思えるけども面白い作品だという事でした。主人公が現在置かれた精神状態から導き出される未来の主人公達も基本的には無理が無く、最後にあれだけの事があろうとも、いやあったからこその主人公の心情も理解出来るものであったと思います。

 このように非常に面白い作品ではあると思いましたが、同時に様々な突っ込みどころもあるように思いました。
 第一にケアレスミスと思しき誤字脱字が散見されたこと。文意が少なくとも前後から推察されるので理解不足という事はないと思いますが無いにこした事はないでしょう。
 第二に序盤で初めてロボットが出てくる際のセリフからは彼の創造主は主人公であるように取れます。彼の創造主はラストにもかかると思いますので少し文章を見直してもいいかな、と思います。

 最後に、主人公の生い立ちと家族との関係についてです。これについては、作中で未来に記録がない事が記載されている以上、不要と言われるかもしれません。が、主人公を殺しに来る未来の私は現在の私と家族無くしては成立し得ないものの筈です。それはキーワードに家族が入っている点から明らかです。なので、遠慮なく突っ込ませて頂きます。
 先ず、主人公と養親との関係について。養い親は彼女、又は彼女の実親とどのような関係なのでしょうか?血縁は無くとも親の友人、遠縁の姻族、全く関係のない第三者……こんなとこでしょうか?これらのどれに当たるかによって主人公との心情的な距離が変わる筈です。何故こんなとこに引っかかったかというと、作中に養親が主人公の実親の墓参りに行っているからです。主人公の少なくとも片親は自然死でないことは作中で明かされています。そんな実親の墓参りに行って某かの事情を報告している訳です。しかも夫婦で。この場合夫の職業も突っ込みどころですが、そうまで気にかけている主人公を妻が火事で死亡すると実の娘共々放棄しています。……これ、矛盾しませんか?
 もう一つ引っかかったのはいつから養親と主人公はギクシャクしているのか?という事です。


[191] RE:「絵空のこと」改札口 Name:三谷透子 Date:2009/09/24(木) 18:23
続きます

養親子の関係において、実子の誕生はなかなか大きな問題です。それまでは上手くいっていたのかどうかは主人公姉妹の関係に関連しそうです。どちらかと言えば主人公が妹との距離をおいているので、主人公姉妹の絆が感じにくく、最後の結末が少し納得いきにくいように思えました。

ではでは
感想としても微妙な気がしますが、率直な意見を書かせて頂きました。
長くなってすみません。ではでは


[326] 感想 Name:中瀬美嘉 Date:2009/10/15(木) 03:32
 並行未来、たくさんの私。面白い発想だ。文章に引き込まれ、すっと読めた。
 何人かのレビュアーが既に語っているように、普通の中学生が遭遇するには少々難があるように思う。本当はもっと奥に何か隠し設定があるのではないかと疑ってしまうのだ。
 物語は少女の辛い過去と家族との不仲、思春期にありがちな葛藤を中心に進んでいる。その中で彼女の生い立ちについてはあまりにぼかされすぎた。養父母とのきちんとした関係が示されない分、読者の消化不良度を上げてしまっている。彼女の親と養父母の関係は、最低限書いて欲しかったというのが読者の本音であろう。
 彼女が様々な未来の自分の姿を垣間見、その上での最後の選択。彼女のちょっとした心の変化がこの結末に結びついているのだろうが、強引な気もする。もっと彼女と未来の関係を具体的に示して欲しかった。
 発想が面白いだけに、展開に首をかしげてしまう箇所がいくつかあったのが惜しいところだ。


[332] RE:「絵空のこと」改札口 Name:招夏 Date:2009/10/15(木) 18:03
感想です

 うう、苦手な「時間」もの……。しかし、自分を殺しにやって来る未来の自分……発想は面白く、しょっぱなから度肝を抜く描写から入っていたので、ぐっとお話の中に入り込むことができました。私個人的には、世界(時代だっけ?)から拒絶されて融解する場面の描写が、少し「十二国記」の発想に似ているようで気になりましたが、まぁ、これは偶然なのでしょう。最後まで興味深く読ませていただきました。

 さて、パラレルワールドやタイムパラドックスを考えると、いつも訳が分らなくなっちゃうのですが、主人公が未来へ行かなければならない理由が分りませんでした。未来で軟禁されることになんの意味があるのか……実は、ずっと考えています。弟(妹だっけ?)が姉を助ける為?でも姉を未来で軟禁するとどうなるのか。でも、このタイミングで未来に連れて行っても、継母は死ぬんですよね?しかも、未来には未来の自分がいるのでは?とか、過去の自分を未来に連れて行ったら、その時点から着いた未来までの間はどうなるの?とか、果てしなく考えてしまって……ああ、眠れない〜


[393] RE:「絵空のこと」改札口 Name:鳥野 新 Date:2009/10/19(月) 20:37
 最初の自分との出会いとその凄惨な死に様がとてもショッキングで、思わず話のなかに引きずり込まれてしまいました。
 主人公の心情の描写はとても丁寧で、ラスト近くはとても切なくなりました。ただ、孤立した思いを抱くには、描かれている家族が良い人すぎて、この心情に至るほどの家庭環境かなと少し疑問が残りました。
 でも、どうしようもない不条理な運命を主人公が淡々と受け入れる様は神々しくもあり、薄っぺらいハッピーエンドでないところが私としてはとても好きで心に刻まれました。


[555] RE:「絵空のこと」改札口 Name:右野前条 Date:2009/10/28(水) 22:51
誤字脱字の多さは、既に指摘があるのでおいておくとして。
中編であるのに、展開がどうにも断片的である点が気に掛かる。
いや、序盤に関しては有無を言わさず読者を引き込むという点で効果的であったとは思うが、そのあとが宜しくない。
主人公があまりの急展開に混乱するのは良いが、読者まで混乱させてしまっては、単なる描写不足だと指摘されても仕方がない。
恐らく作者が感動的シーンとして用意したのであろう義母を前にした独白も、
主人公の家庭的問題が示されたのが作品の中盤を過ぎてからでは、あまりに浅い。
唐突に語られた問題がぱっと解決して、感動のラストです……では、読者としては納得がいかないのだ。
このように落とすのならば、主人公の抱える問題に、もっと文章量を割いておく必要があっただろうと思う。

それと、これは単純に疑問なのだが。
主人公の前に次々に現れる彼女らは、どのようにして自らの並行世界を認識していたのだろう?
まして、自らの世界を含めたそれぞれに番号を振っているというのは……並行世界間に序列があるとは思えないので、何とも違和感がある。


[651] RE:「絵空のこと」改札口 Name:羽村奈留 HOME Date:2009/12/07(月) 23:14
20,582文字分の中編を読ませて頂きました。

メルヘンチックな題名とは裏腹に、ミステリアスな場面が多く、あらすじにある「私を殺しにやって来た私」もまた考え深げなもので、最初から最後まで読み終えてやっと全貌が明らかになる作品だと思いました。

羽村的に言わせて頂くと、
「本当に未来は明るいのでしょうか? 未希さんの名前の文字が気になりました」
です。

投稿お疲れ様でした。
今後も更なる発展とご活躍をお祈り申し上げます。



  


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