<空想科学祭2009>レビュー/感想掲示板



[140] 「人の園」栖坂月 Name:空想科学祭2009 Date:2009/09/17(木) 17:31 [ 返信 ]
【題名】人の園
【あらすじ】人間社会に進出を果たし、すでに人間以上の効率と信頼を勝ち得ているアンドロイド達。しかし彼らも完璧ではない。数々の失敗談が、そこにはあった。
【名前】栖坂月
【URL】http://ncode.syosetu.com/n0026i/



[141] RE:「人の園」栖坂月 Name:尚文産商堂 Date:2009/09/18(金) 17:30
管理するアンドロイドと管理される側の人間という組み合わせは、私にとって新鮮でした。"絶望"という病によって自殺を続ける人間は、最後には絶滅危惧種となりましたが、おそらく遠からず将来に根絶するでしょう。そうなるとアンドロイドたちはどのような存在意義を見出せばいいのでしょうか。そのような、作品に書かれていないことにも意識を飛ばさせていただけるような、そんなことばかり読了後に考えてしまいました。

[142] RE:「人の園」栖坂月 Name:ラヒチ Date:2009/09/18(金) 17:52
舞踊会と日常生活と保護運動、未来世界で見られるこれら三つの物事が順を追って語られますが、どれもこの現代社会のある現象を拡大し描かれているような印象を受けました。顔の美醜、労働と使命感、生活環境が潤えば潤うほど増していく閉塞感。それらを含む世界を園と言い表すタイトルが一番の皮肉ですね。ただ、前半部の軽さと後半部の諦観に満ちた描写のギャップが少し気になりました。そういった印象を狙ったのかもしれませんが…作者様なら一貫して鼻で笑えるブラックジョークにできたのではないでしょうか?と最後に呟いてみます。

[211] 感想 Name:中瀬美嘉 Date:2009/09/27(日) 17:41
 主人公であるアンドロイドとその主。一見美しい主従関係の真実は恐ろしいものだ。
 手に入れた自由が果たして本当の自由だったのか。解放された人間たちに何故かつきまとう死の影。我々現代人におきかえても当てはまる、生々しい話だ。
 ブラックユーモアというのだろうか、常にこの作者の書く話にはどこかそういうものが隠れている。笑いや平和と見せかけ、社会批判。織り交ぜ方が綺麗なので、一つの読み物として読んだ後で納得感が大きい。
 アンドロイドの彼女の、主への気持ちを考えると胸が詰まる。
 そして我々人類がこういう道を辿らないことを願う。


[251] 哀憐漂う小品 Name:秋は戻り鰹 Date:2009/10/04(日) 14:48
本企画でも掌・短編4作投稿と的確なレビューの数々で活躍し、「小説家になろう」でも人気のある作者の企画3作目。独特の雰囲気がある作者であるが、どうしても「改造人間2号」と「光指す未来」が目立つ中、この作品は例の喜劇性が陰に回り、シリアスで儚くも哀憐漂う小品に仕上がっている。
内容はSFでもオーソドックスなテーマである「ロボットやアンドロイドによる人間支配」だが、同じテーマを扱った坂本氏の「ロボ行く道・・・」と較べて見ると面白いだろう。
本作作者の場合、「支配」ではなく「保護」である。しかしこの手の作品では「人物園」としてヒトが見世物となる猿の惑星風はよくお目にかかるのだが、作者はあくまでも静かに滅び行く種を2つのエピソードを添え、抑えた筆致で描いた。
とはいうものの、やはりこの作者の持ち味は皮肉に溢れた喜劇性。本作をどのような心境で書き上げたものかは分からないが、その雰囲気に惹かれる読者の一人としては、物足りなさも否めなかった、と書き残しておく。


[285] RE:「人の園」栖坂月 Name:招夏 Date:2009/10/07(水) 14:06
「改造人間」を読んだ後だったので、また面白い話を〜などと思っていたら、いやいや、どシリアスで……新鮮でした。

 トキとか、パンダとか、ヤンバルクイナとかが頭に浮かびましたね。滅び始めたら、いくら手を尽くしても駄目なんでしょうか。絶滅危惧種を医学や科学の力を駆使して保存しようと頑張っている人々にアンドロイドたちが重なって、切ない気分になりました。もっとも、アンドロイドは切なく感じることはないのでしょうが……。

非常に引き込まれやすく、深遠で、考えさせられるお話でした。面白かったです。

 


[476] RE:「人の園」栖坂月 Name:鳥野 新 Date:2009/10/25(日) 01:11
 未来において「労働」から解放された幸せなはずの人類の姿、ところが……。
 オスの価値が容姿というところが、ある種のトリに退行していっているようで笑えました。
 人間はもろい、というかもろくなってしまったんですね〜。
 種の進化って何、と考えさせられました。
 未来社会の設定は個性的で、とても興味深かったです。


[504] RE:「人の園」栖坂月 Name:右野前条 Date:2009/10/25(日) 15:45
人間が進化の究極であるはずはなく、より優れた種、或いは無機的知性に取って替わられる。
それだけなら珍しくはないが、善意(アンドロイド側の主観では)に基く保護と管理という形をとることで、マンネリ感を打ち消している。
ことに、登場するアンドロイドの無自覚な残酷さが、なんとも素晴らしい。
主のファッションに絡めた極楽鳥に関する描写が、ごく自然な伏線として織り込まれているのも秀逸だ。
一つだけ不満を挙げるとすれば、この文体で"イケメン"が連発されたのは、やや興醒めではあった。


[636] ありがとうございました Name:栖坂月 Date:2009/11/17(火) 12:28
まずは定例通り、この作品をお読みいただき、かつ感想まで寄せていただきましたこと、ありがとうございます。どちらかというととっつきにくい作品であろうかと思いますので、悩まれて感想を上げた方もいらっしゃったのではないかと予想しています。
実はこの作品、かなりブレた作品でした。
当初、構想を立ち上げた際にはニヤリと笑えるようなコメディテイストの作風になると想定しつつ組み上げていったのです。ところが実際に書いてみると、特に後半はドンドン流れが暗くなってしまいまして、とてもコメディ的な雰囲気などなくなってしまったのです。途中でジャンルキーワードを変更せざるを得ないような状況になり、全体として思惑とは違う作品になってしまったというのが実情です。そのため、コミカルな色合いの強かった前半部に修正を加えて、バランスをとっています。右野さんの挙げていた『イケメン』などの違和感は、その時の名残と言えるでしょう。
ただ、単純に失敗作かと問われると少し微妙なところでして、想定はしていなかったけれど作品としてはそれなりにまとまってくれたという印象を持っています。最近は少なくなりましたが、流れに任せた執筆というのも昔は好んでやってました。多少筋が変わっても、その時の流れやリズムといったものに委ねて書いてみると、意外にまとまりのあるノリの良い文章が書けることも多かったものです。むろん、自己を制御できない未熟者であったとも言えるのですが(笑)この作品は、そんな少し前の自分を連想させるような作品でした。
自分の中で『良い作品』が生まれる時は、想定していなかった設定や因果が自然に符合するような状況が結構見られることが多く、そういう時の作品は『何かを作る』というより『在るものを形にする』という行為に近い印象があります。私は感性に自身があるタイプの書き手ではありませんが、いやないからこそ、こういった感覚は大切にしていきたいと思っています。
とはいえ、もう少し何とかなった作品であったことも事実なんですよね。
個人的には、もう一度最初から組み直してみたい作品でした。



  


感想やレビューへの返信、11/1からはご自由にどうぞ。
皆様のレビューは、投票とともに各賞選考の対象とさせていただいております。
11/1以降のレビューは選考対象となりませんが、書き込み可能です。

無料レンタル掲示板・日記・ブログ WebSpace