<空想科学祭2009>レビュー/感想掲示板



[247] 「UFOフィッシャーズ!」水色ペンキ Name:空想科学祭2009 Date:2009/10/04(日) 00:12 [ 返信 ]
【題名】UFOフィッシャーズ!
【あらすじ】21世紀初頭に発見された新資源ユーフォニウム。大国アメリカは優れた工業力と高いUFO飛来率を背景に、この新資源の独占的供給体制を組み上げる。だが、米政権に近い企業がユーフォニウムの化学的合成に成功すると、捕UFO大国は一転して反捕UFOに立場を変えた。ようやく黎明期を迎えた中後進国の捕UFO漁業は、ここに苦難の時代を迎えるのだった。
【名前】水色ペンキ
【URL】http://ncode.syosetu.com/n1647i/



[249] 快速ロードムービーSF現る Name:秋は戻り鰹 Date:2009/10/04(日) 01:15
これはとんでもないものが現われたものだ。
UFOをクジラに当て込み、オーソン・ウェルズの名を歴史に刻んだラジオドラマ「火星人襲来」を下敷きにしたハイスピードロードムービーSF、とでも呼ばせて頂こう。いや、これは魂消た。
ナンセンスと言ってしまうには勿体無い豊富な知識。知的でオバカな笑いはイギリスジョーク(「モンティ・パイソン」や「ミスタービーン」を思い浮かべて頂こう)を髣髴とさせる。これは簡単に書けるものではない。
特に「BBQ」は秀逸だ。ロードムービーと呼んだのは世界を超スピードで駆け抜ける(現地の取材を繋いで)からだが、それがまた実にその土地なり人種なりのパロディとなっている。
chap.氏とはまた別種の言葉つむぎ。軽快で軽薄そうに見え実によく練られている。
「改造人間」にこれはまた凄みのあるライバル作が現われたものだ。
ただ一点。締めに苦労したのだろう、オチがそれまでのパンチに比べ、少々軽かった。
しかし、そんなことはどうでもいいだろう。かの「火星人襲来」ですら尻ツボミであっけなく火星人が滅ぶのだから。


[250] RE:「UFOフィッシャーズ!」水色ペンキ Name:ラヒチ Date:2009/10/04(日) 01:29
意味不明の掛け声から始まり、全世界規模で展開するナンセンス・エンタテイメント大作。カメラが切り替わるたびに視点は世界中を移動し、レポーターとUFOフィッシャーズのやり取りや、専門知識を持った教授から自国万歳の大統領まで登場して、この歴史に残る葉巻型巨大UFO対フィッシャーズの《ショー》を盛り上げていきます。テンポ良い文章に場面転換に効果的な文字記号。軽い会話文としっかりした地の文のバランスも、かなり計算された印象を受けました。でこれは勝手な推測なのですが…この作者様、プロットからどこまでを作品に露出させるか、その適切量を知っているのだな、と思いました。プロットを練るとその分本文に設定を入れてしまいたくなる、しかしそうすると大抵の場合作品全体が野暮ったくなってしまう…あくまでこの作品はこの一大事件を俯瞰する、という立場から揺るがず、最後まで魅せてくれます。自作を客観視するのが上手いのでしょう。オンラインで読むっていうのは読者の立場からすると本当に様々な障害があると思うのですが、この作品は読ませる文章・構成・展開と揃っていて、あっという間に読み切れます。お勧め!
 しかし、一点だけ。これは本当に好みの話なのですが、個人的に…オチがどうにも頂けなかった。最後の盛り上がりのあとにあれを持ってくると、作者自らが作品を矮小化させてしまったのではないだろうか?と思ってしまいます。こんなはっきりした苦言を呈するのは、わたしが夢中になっていた所以であります。とにかく、総合すると本当に心の底から楽しませて頂きました。こういった、馬鹿馬鹿しい話を真面目に描き切るっていうのは、なかなか出来ないことです。ああ、それにしても、漁師たちの掛け声が素敵すぎる。


[266] RE:「UFOフィッシャーズ!」水色ペンキ Name:尚文産商堂 Date:2009/10/04(日) 22:37
一つの部分ごとにすぐに場面が変わってゆき、そのたびにどこの場面かというのを考えましたが、それでも、次々と変わっていく展開に、わくわくしながら読ませていただきました。UFOに対抗する飛行機ということで(自称)開発されたUSOも、彼らを生きながらえさせることができないということは、この宇宙のどこかにいるかも知れない人々は、ずっとこの地球を狙っているのかもと、勝手に考えてしまうような作品だったと思います。

[281] 正々堂々、皮肉上等 Name:栖坂月 Date:2009/10/06(火) 15:41
驚かされました。あらすじを読んだ時点でUFO=鯨という構図は見えていましたが、こういう形に推移するとは思っていませんでしたね。上手いとか優れているとか、そういう単語で片付けるのはあまりに勿体無い……というより不適切ですね。特にこの手法、単純な描写や表現という観点から見ることは危険ですらあるように思います。この乱れた感じ、一見すると統一感がないようにも見える支離滅裂な感じが、明らかなリアリティを演出しています。そしてもちろん、これらが計算によって成り立っているという見事さを兼ね備えていました。文章構築の力量という面から見れば、今企画で神格化したchap.さんにも劣らないほどの実力を見たように思います。まぁ、あんまり誉めると金貰ってんじゃねーかとか思われそうなんでこのくらいにしときますけど。
一方の内容は、これでもかとばかりの皮肉に満ちています。凄まじいまでのストレートな皮肉に、普段の生活にどれほどの不満があるのだろうかと、いらぬ心配をしてしまいました(笑)ただ、厳しいやり取りやキツいジョークが多いものの、正直言って腹を立てるより頷かされる部分が多く、ふざけているようで至極真っ当な主張に感じられましたね。この部分でも、感心させられました。
他の覆面レビュアーさん(笑)が指摘されているオチに関してですが、確かにSFのオチとしては、もっと大きな何かを見せてもらいたかったという側面はあるかもしれませんね。コメディとして捉えるなら妥当と言えなくもありませんが、少なくとも高いレベルを期待したくなる作品であることは事実です。個人的にはUSOで盛大に吹きました。日本語のわからん外人らしいネタだと思ってです。ところが最終的には意味を含んだアメリカンジョークではないかと思い直し、この方のコメディのセンスにも驚きましたね。ただ、ちょっと理屈っぽいというか理系過ぎて、そこに到達できる人は若干少なくなるかもしれませんが。
それにしても、この作品と「改造人間」を横に並べるなんて、とんでもないこと言わないでくださいよ。
あ、それも皮肉か(笑)


[387] RE:「UFOフィッシャーズ!」水色ペンキ Name:招夏 Date:2009/10/19(月) 11:20
感想です

ジョークと皮肉と臨場感が一体となって、テンポよく話は進んで行きます。じっくり読むよりもテンポよく読むほうが良いような気がします。

タイトルからして、捕鯨を皮肉ったものかと最初は思いながら読んでいたのですが、こういうオチになるとは……。こういうオチなら、タイトルはもう少し違ったものでも良かったのでは?と思いました。もっと、意味深な……うーん、私じゃ思いつかん。失われた文明シリーズ第29回の記録映像のラベルに貼るタイトルみたいなやつ。

>偏った情報に触れると、あっというまに染まってしまう。そして、あとで後悔するんですね。

この言葉を非常に重く感じました。まさにそのとおりだねってね。

面白かったです。 


[399] RE:「UFOフィッシャーズ!」水色ペンキ Name:鳥野 新 Date:2009/10/20(火) 01:31
 最初これでもかというくらいに、細かいくすぐりの入ったUFO騒動の場面が繰りかえされる。途中ちょっと飽きてきたりもするのだが、その巧みな状況設定と描写が面白くて、読むのが止められない。(CMは笑った!)
 科学の最先端のはずのUFOがなすすべもなく狩られていく牧歌的なUFOフィッシングだったはずが、最後のほうではすさまじく凄惨な風景に変わりそれがまた淡々とニュース風に描写されるものだからかえって怖い。(ら〜んという擬音がまた不気味〜)
 息もつかせぬ展開を描ききった逸品だと思う。


[453] 感想 Name:中瀬美嘉 Date:2009/10/24(土) 03:26
 強烈なインパクト、全体を通してスピーディーな展開。臨場感たっぷりに読ませてくれたことにまず感謝。
 が、確かに最後は寂しすぎた。そういうオチかと納得したの半分物足りないの半分。結果は最初からわかっていたが、それにしたってあの盛り上がりはと肩を落とす。それ以外は文句なし、どうせならあの勢いのまま終わって欲しかった。最初から用意していたオチに向けて急落下し過ぎた。自分ならどうするだろうかと考えてみたがよい答えは浮かばない。それにしたって、もう少し捻れば、いや。捻り無く最後の一話をカッとする方法もあったかも知れない。
 地球人類の愚かしさを上手く風刺した。勝ち目のない勝負に命を懸ける男たちは実に気持ちがよかった。加えてこのスタイル。上手い。テレビの前でその現場を目で追っているような感覚。人物の息づかいや動きまで、その描写がないにもかかわらず浮かんでくる。UFOをよいせよいせと引っ張る漁師たちの掛け声が心地よく耳に残った。素晴らしい。今まで読んだ企画作品の中でも一押しなのは間違いない。


[569] RE:「UFOフィッシャーズ!」水色ペンキ Name:右野前条 Date:2009/10/29(木) 23:09
絶賛が並んでいるなか、誠に申し訳ないが。

本作に対する初見の印象は、演劇かコントの台本というものだった。
そういって悪ければ、映画のノベライズかだ。
その感覚の原因は、やはり、あまりにも多過ぎる会話文(というか、地の文の少なさ)と、擬音の数々にあるだろう。
映像的であるといえばそのとおりだが、些か奔放に過ぎる作品形式だという印象を拭えない。
散りばめられたメッセージ性や表現のセンスには感嘆する部分もあっただけに、惜しさを感じさせられた。


[573] RE:「UFOフィッシャーズ!」水色ペンキ Name:憂国万歳 Date:2009/10/29(木) 23:48
おお、正しくエンターテイメント。でもそれだけじゃ終わらないッ!
なんだか十個も先に感想が付いていると書くことがなくなるな(汗)。
先の感想、レビューで「オチが……」と書かれていましたが(私は)好きです。かっこ内の言葉はあえて読み飛ばしても可。


[574] RE:「UFOフィッシャーズ!」水色ペンキ Name:憂国万歳 Date:2009/10/29(木) 23:50
なんという予測変換\(^o^)/
×十個 ○八個
すいませんorz


[622] お礼とネタバレ、などなどなど。 Name:水色ペンキ Date:2009/11/04(水) 00:24
お読みいただきありがとうございました。作者の水色ペンキです。
沢山のご感想ご指摘ありがとうございます。これを糧としてまた精進したいと思います。

以下ネタバレとお礼ないまぜに。

ラストの弱さですが、皆様のご指摘の通りです。最後の一章だけちょっと急ぎすぎました。もう2、3日寝かせていたら、もう少し違う書き方にできたかなと思います。実は最初は核爆発→カメラがぐーっと引いてなぜか宇宙から光球を撮る→画面がフェードアウト→宇宙人のCM→淀○さん風宇宙人による解説→この番組は宇宙開拓なんとかの提供でお送りしました、というオチを考えていました。エンタメとしてはそのほうがよかったのですが、この構成だとテーマに合わず四苦八苦で、色々悩んだ末に淀○さんだけご登場願い、そこで「あ、俺この人のファンなのにネタにしちゃった申し訳ありません」でその先を打ち切ってしまった次第です。うーん、詰めが甘かったですね。それ以前かw

ではテーマとは何だったのか。以下、こういう解題を好まない方もいらっしゃると思いますので、不要な方はここで終了してください。

本作は第一にジョーク小説ですが、主要テーマはなんと! プロパガンダの恐怖です。そんな真面目な小説だったのか。意外ですね。率直に言って、最終章以外は全部反米プロパガンダです。招夏様のご指摘通り、鍵は最終章の「偏った情報に触れると、あっというまに染まってしまう」というところですね。偏った情報、つまりこの作品です。これを読んでアメリカ酷い奴だなあ、フィッシャーやリポーターにシンパシーを感じるなあ、という方がいらっしゃったら、それはアブナいよ、ということなんです。本作の登場人物は基本的に全て、各自の立場に従順であるにすぎません。どうだったでしょうか。
そんなわけで、先に書いたような結末ですと、プロパガンダ部分を作者が追認することになってしまうわけです。それでは意味がありませんので、エンタメとして纏めるのを避けたということになります。まあ、色々こねくり回したところで、結果的にラストだけよくわからない浮き方になってしまったのは事実で、これは純粋に私の構成力不足。反省しきりです。

秋は戻り鰹様のご指摘通り、本作はオーソン・ウェルズの「火星人襲来」を参考にしています。特に画面内の事実と視聴者の現実が混乱し、何を見、何を聞いているのか確定できなくなるという部分ですね。またウェルズに限らず、ラジオドラマの表現方法をかなり参考にしています。ほか『白鯨』や『カタロニア賛歌』等も。小ネタを拾った作品を列挙すると長くなってしまうので省略しますが、いろいろな物に助けられて書いた一本です。

ここからは執筆ノートです。これも興味ない方は以下略。

構成について。
上のプロットを実現するために、視野は固定(スクリーン)していますが、視点(視聴者)は曖昧なまま引っ張りました。このあたり、ロブ=グリエ『嫉妬』なんかの影響です。音声だけで始まる冒頭、映像の繋ぎ方の乱雑さ、臨時ニュース以降の時間経過のご都合主義的な飛躍、このあたり全部、「BBQの映像が二次編集されている」ことの伏線でして、直ちに読者に気づいては貰えないとしても、漠とした不安を提示できれば十分というスタンスで作りました。そして最後のところで読者(=視聴者)の視座は地球人のそれでないことを明らかにし、読者が直前シーンまでの「読み」(=多くは地球人としての、反米プロパガンダへの反応となることを期待していました)を相対化するお手伝いをする、という感じです。
構造上の伏線は上記の通りで、基本的に最終章で受けています。逆に物語上の伏線は、構造上の伏線を隠すための捨て駒にしたといいますか、基本的に全部潰す方針で作りました(序盤のカメラマンと後半のカメラマンの照応とか)。こうすると表面上はなんとなく逆説的に見えるので、ジョーク/風刺小説として煙幕を張るには丁度いいかなといった感じでした。

書き方について。
本作では、いわゆる「第四の壁」という物を2枚用意しました。一枚はスクリーンという名の壁、もう一枚は小説世界と現実との壁です。この微妙な「遠さ」を崩さないように、なるべくヨソヨソしい書き方を心がけています。以下に例を挙げます。

・描写はモノ中心に行い、視界の縁辺部まで描き込まないこと。テレビを見るときは、そういう集中の仕方をしていると思います。

・地の文を極力減らし、視点(認識の基点)の問題から読者の関心を逸らしておくこと。これは半分はプロットの都合です。なお、投稿作は第二稿でして、第一稿の時点では完全に地の文ゼロでした。そちらではラジオドラマと戯曲風の台詞で状況説明を補っていたのですが、後半『たたかえ人類』のあたりで流石に無理が生じまして、最終的に100枚分ほど書き直しています。当初9月頭には投稿するつもりでしたが、ここで時間を食ってしまいました。

・比喩は直喩中心にし、即物的な書き方を心がけること。視点を曖昧にしている関係上、隠喩という一種の「読者の読み頼み」な方法を使うのは、ダブルスタンダードだと思ったからです。作中の隠喩は、基本的にUFOと鯨の関係だけだったと思います。

・地の文では極力個人名を出さないこと。例えばリポーターの掛け合いで人物の名前が判明していても、地の文では繰り替えし「リポーター」と呼ぶ等です。例外はヤブー大統領、ローバン教授、ユージンの三人だけ(多分。見落としがなければ)ですね。こういう番組を見る視聴者は、些末な人物を名前でなく立場で判別しがちです。このため、著名人として複数のシーンに登場する前二者と、書き分けの都合上、シャルロット(リポーター1)と区別する必要のあったユージン(リポーター2)だけ個人名が出ることになりました。後者については別に処理の仕方があったかもしれません。ほか、誰が喋っているか視聴者が意識しないような箇所では、そもそも誰が喋っているか判別できないように書いています。

・オノマトペと記号を多用すること。
基本的にジョーク小説なのでふざけた感じを出すため、また地の文を減らした分、不足する状況説明を補うため、あとは話にスピード感を出すために、オノマトペと記号を多用しました。かなり乱暴な使い方をしていますが、読み進むうちに何が何を表しているのか、一応わかるように書いたつもりです。

こんなところです。長々とお付き合いありがとうございました。そんな書き方じゃダメだとか小説ナメてんのかとかそんなん伝わるわけねーよとか色々お叱りを受けそうですが、こういう書き方が趣味なので、何卒ご勘弁をば。

それでは、またどこかで。



  


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